法話を聞く・読む / 今月の法話 バックナンバー(No.417)

今月の法話 バックナンバー

令和5年1月 No.417
年頭の辞

新しい年のはじめにあたり、ご挨拶申し上げます。

まず、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた国内外のすべての方々に、んで哀悼の意を表しますとともに、罹患されている皆さま、後遺症をわれている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、医師・看護師をはじめとする医療従事者の方々、ライフラインの維持に努められている方々に深く敬意と感謝を表します。

そして、すでに1年近くに及ぶロシア連邦のウクライナ侵攻に対して、私たち念仏者は『大無量
寿経』に説かれる「兵戈無用」、親鸞聖人がお示しくださった「世のなか安穏なれ」のお言葉をあらためて心に深く刻み、武力による他国の主権の侵害を強く非難するとともに、一刻も早くウクライナに平和が訪れることを願ってやみません。

さて、本年は親鸞聖人がご誕生されて850年、来年は、阿弥陀さまのご本願の救いである他力念仏のみ教えを、主著である『浄土真実教行証文類』(教行信証)にまとめられてから800年という記念すべき年になります。それにあたって本願寺では、本年3月29日から5月21日までの5期30日間にわたり、「親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要」をおつとめいたします。また、築地本願寺と各地の教区・別院・教堂においても、2024年末までに慶讃法要をおつとめすることになっています。

浄土真宗のみ教えが今日まで、800年のきにわたり連綿と受け継がれてきましたのも、多くの先人の方々がお念仏申しつつ、凡愚のままめ取って捨てない阿弥陀さまのお慈悲、ご本願のお心を確かなりどころとして生き抜いてこられたからに他なりません。このたびのご法要は新型コロナウイルス感染症の感染対策を講じ、ご参拝の皆さまのご理解、ご協力をいただきながらのご修行となりますが、あらためて親鸞聖人のご誕生を祝し、私たちが浄土真宗のみ教えに出遇えたことを喜び、そのご恩に感謝するご勝縁にしたいと思います。

世界的に見ても、いまだに新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況が続いていますが、これからも阿弥陀さまのおはたらきを聞き、それを依りどころとして日々を過ごしてまいりましょう。そして、み教えを広く人々に伝え、人と喜びや悲しみを分かち合うなど、少しでも阿弥陀さまのお心にかなう生き方を目指し、すべてのいのちあるものが、お互いに心を通い合わせて生きていけるような社会の実現に向けて、精いっぱい努力させていただきましょう。

(『大乗』令和5年1月号より転載)

門主 大谷 光淳

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