法話を聞く・読む / 今月の法話 バックナンバー(No.429)

今月の法話 バックナンバー

令和6年1月 No.429
年頭の辞

新しい年のはじめにあたり、ご挨拶申し上げます。
昨年は本願寺において5期30日間にわたり、「親鸞聖人御誕生850年 立教開宗800年 慶讃法要」をおつとめいたしました。ご参拝くださいました皆さま、お力添えを賜りました皆さまに心より感謝申し上げます。

昨年も世界各地で地震・洪水・山火事など様々な災害が起こり、多くの方が被災されました。特に7月の熊本県での大雨による土砂災害と8月のハワイ・マウイ島における山火事では、本願寺派寺院が甚大な被害を受けました。ここに災害によってお亡くなりになられたすべての方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。皆さまが一日も早く、日常の生活を取り戻されますことを願っております。

また、2022年2月に始まったロシア連邦によるウクライナ侵攻はいまだに続いており、2023年10月以来、イスラエルとパレスチナの武力衝突では関係国を巻き込んで、民間人を含む多くの犠牲者が出ています。私がいま思い起こしますのは、「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」(『ダンマパダ』第129偈)というお釈迦さまのお言葉です。

ウクライナとパレスチナはいずれも地理的には日本から離れていますが、同じ地球上で起こっている悲惨な出来事であり、特に冷戦終結後は民族の自立や境界をめぐり、地域紛争が激しくなっています。平和主義を掲げる仏教徒として私たちは、お釈迦さまのお言葉を深く心に刻み、国際社会の平和と安全に大きく貢献することが求められています。

本年もみ教えを聞き、一日一日を大切に過ごしてまいりましょう。

(『大乗』令和6年1月号より転載)

門主 大谷 光淳

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