法話 今月の法話

今月の法話

平成29年9月 No.353
眼を開けば どこにでも 教えはある

 2010年の法務省調査によると、戸籍上は生存しながら所在不明の100歳以上の高齢者は全国で23万人以上になるそうです。当時『孤独死が社会問題化している中、地域社会での人間関係の希薄化が課題』との新聞記事がありました。指摘される人間関係の希薄化は、地域社会と家族関係の課題であり、現在この人間の孤立化はより深刻化しているように思います。

 誰しもずっと一緒に居られる訳ではありません。離れて暮らす事もありますし、いつ悲しい別れがあるかも知れません。この現実から目を離さず、互いが孤独な存在であると認め、お寺の本堂から新たな一歩を踏み出された方は沢山いらっしゃいます。

 お盆の頃、帰省ラッシュ渋滞30㎞との記事がありました。いつもなら大変さが気になるのですが、渋滞を経ても辿り着きたい場所を持っている人達がいるということに、ほっとした思いを持ちました。その場所で会うべき人はもうお亡くなりになっていたとしても、頭を垂れ手を合わせる世界を持っている方にとって、そこに帰る事は大きな意味があります。高齢者所在不明の記事は私にとって「さまざまなものを見失いそうになったとき、帰る場所がありますか」との問いとなりました。

 たとえ帰省する場所がなくても、お寺の本堂に座り仏さまに手を合わせることで開かれていく世界があります。そんな出遇いを求めお寺に足を運び、ぜひ仏さまの温かい世界に触れて頂ければと思います。

香川県高松市 教円寺 田村 正教

今月の法話について

西本願寺鹿児島別院では、本願寺派布教使による法話(仏さまのお話)を毎月発行しています。